
本学会は1998年12月、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件を契機として設立され、25年以上にわたり災害看護の学術的基盤を築き、実践の発展に寄与してまいりました。今日、私たちを取り巻く状況は一層厳しさを増しています。世界各地で発生する自然災害は規模と頻度を増し、気候変動がそのリスクをさらに加速させています。国内でも、夏の暑さは厳しさを増し、数十年に一度といわれるような豪雨がもはや毎年のように発生し、日本中で豪雨・洪水・土砂災害の危険に直面しています。加えて、首都直下地震や南海トラフ地震・津波といった差し迫った国難級大規模災害の脅威も現実味を帯びており、災害看護に対する社会からの期待はこれまで以上に大きく、本学会の使命はますます重くなっています。
第11期では、こうした状況を踏まえ、次の4つの取り組みに重点を置いてまいります。
1. |
災害看護の知の体系化と発信 研究活動を推進するとともに、研究成果や実践知を集約・整理し、教育活動や学会誌発行、学術集会などを通じて広く社会へ発信します。 |
2. |
地域に根ざした災害対応力の強化 地域社会との協働、ならびに組織会員による協働連携方策の検討、まちの減災ナース育成指導者養成などを通じ、地元の力を活かした減災・備えの仕組みづくりを推進します。 |
3. |
次世代育成の推進 若手および学生会員の教育・研究・実践活動を支援し、災害看護を担う将来世代の育成に努めます。 |
4. |
他分野との協働、国際連携の推進 医療・福祉・行政など多分野との協働を進めるとともに、国際的ネットワークを拡充し、日本発の知見を世界へ発信します。 |
2025年9月6日
一般社団法人 日本災害看護学会
理事長 増野 園惠
一般社団法人 日本災害看護学会
理事長 増野 園惠