スフィア基準

« Back to Glossary Index
用語 スフィア基準
英訳 Sphere Standard
定義 1997年にNGOグループと国際赤十字・赤新月運動が開始したスフィアプロジェクトで策定された人道憲章と人道支援における最低基準
解説 1990年代の人道機関による国際的な活動の増加や難民危機を受けて、多くの人道援助機関及びNGOが共通して使用する人道対応に関する基準が必要である、という認識の高まりを受けて、紛争や災害の被害者が尊厳のある生活を送ることを目的に定められた基準である。スフィア基準には「人道憲章」「権利保護の原則」「コア基準」(全てのスフィア基準に共有される必須のプロジェクト基準)とともに「人間の存続のために必要不可欠な4つの要素として(1)給水、衛生、衛生促進(2)食糧の確保と栄養(3)シェルター、居留地、ノン・フードアイテム(非食糧物資)(4)保健活動」の分野における最低基準が定められている。日本では、災害関連死を防ぐとともに被災者が尊厳ある避難生活を送ることができるように、スフィア基準を参考に避難所の環境整備や避難所運営マニュアル等の作成に活用されている。
事例 2011年の東日本大震災時には、乳幼児とその家族の健康・発育・生活を支援する「赤ちゃん一時避難プロジェクト」が立ち上げられた。被災地外避難所を運営し、現在も継続支援中である。このプロジェクトではスフィア基準を参考にした適切な支援が行われている。 2016年には、内閣府が作成した「避難所運営ガイドライン」の中でスフィア基準は避難所の質の向上を考えるときに参考にすべき国際基準として紹介された。その後、居住スペースやトイレの設置数等について、スフィア基準を参考に避難所運営マニュアルを見直す地方自治体が増えている。瀬戸内市ではスフィア基準を追記した避難所運営マニュアルに修正し、その内容を2021年にホームページで公開している。
参考文献(APA方式) Sphere Association(2018).The Sphere Handbook 2018. practical action publishing. スフィアハンドブック: 人道憲章と人道支援における最低基準 日本語版第4版.東京:支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク.
外山聖子(2013).第55回人道憲章と人道対応に関する最低基準(スフィア基準). 内閣府.
https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/organization/researcher/atpkonow/article055.html
最終編集日 2024/8/1
理事会承認日 2024/8/10
« 災害看護学術用語へ戻る